2025年08月20日
飲食店テナントの残置物、調理設備は残す?残さない?
不動産経営において、飲食店などのテナント物件を扱う際に
必ずといってよいほど話題になるのが「残置物(ざんちぶつ)」です。
特に厨房設備や空調機器などは、そのまま残すべきか、
撤去してから募集すべきか、判断に迷うオーナー様も多いのではないでしょうか。
今回は、この「残置物」について整理し、オーナー様にとって大切な視点を解説いたします。
残置物とは?
「残置物」とは、前の入居者が設置したもののうち、
退去時に撤去されずに残っている設備や備品を指します。
たとえば、もともとエアコンが付いていなかった店舗に入居者が自費で設置し、
退去時に「撤去費用がもったいないから」と置いていった場合、
そのエアコンは残置物となります。
ポイントは オーナーの所有物ではない ということです。
したがって、故障したとしてもオーナーに修繕義務は発生しませんし、
物件の「設備」として貸し出すこともできません。
残置物のリスクと注意点
飲食店の厨房機器や空調機器は、開業に大きなコストがかかるため
「残っていればラッキー」と思う新規入居希望者もいます。
ところが、残置物はあくまで前入居者の所有物であり、
オーナーには修繕責任がありません。
したがって契約時には、重要事項説明書などに
「現存する機器は残置物であり、修理・交換の責任は借主が負う」
と明記することが重要です。
また、新規入居者から「いらない」と言われた場合には、
貸主が撤去しなければならないケースもあります。
この撤去費用は数十万円単位になることもあり、
オーナーにとって大きな負担となる可能性があります。
「撤去するか残すか」の判断基準
理想的な流れは、
退去時に原状回復を徹底し、すべて撤去してもらう
新規入居者がゼロから必要な設備を導入する
という形です。この場合、リスクは最小限ですが
「設備付きで即開業できる」というテナントの魅力は失われます。
一方で、残置物をそのまま残す場合、
設備を活かしたい入居者にとっては大きなメリットとなり、
成約スピードが上がることもあります。
しかしその反面、「不要だから撤去してほしい」と言われた際に、
オーナー側が費用を負担するリスクが伴う点を忘れてはいけません。
退去予告と水面下での交渉の重要性
飲食店の退去予告は、住居用物件よりも早く
「6か月前」とされているケースが一般的です。
この期間を有効に活用し、
水面下で新規入居希望者のニーズを確認しておくことがポイントです。
例えば、「この設備が残っているならすぐに開業できる」という声があれば、
そのまま残置する判断につながります。
逆に「まったく不要」という場合には、退去時に撤去を依頼してしまう方がトラブルを防げます。
まとめ
残置物はオーナーにとってメリットにもデメリットにもなり得ます。
修繕義務がないことを契約で明確にする
新規入居者のニーズを早めに確認する
不要な場合には退去時に撤去してもらう
こうした対応を徹底することで、余計なトラブルを回避し、
スムーズなテナント経営につなげることができます。
飲食店テナントを取り扱う際には、
「残すべきか、残さないべきか」を事前に検討し、最適な判断をしていきましょう。
テナント賃貸経営のご相談は当社へ
当社では、テナント物件の賃貸管理や入居者募集、
退去時の対応に関するご相談を承っております。
「残置物の扱いで迷っている」
「スムーズに新規入居者を決めたい」
といったお悩みがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
オーナー様一人ひとりの状況に合わせて、最適なご提案をさせていただきます。