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法人テナントが物件を本店所在地として登記する際のリスクと対応ポイント

2025年06月13日

法人テナントが物件を本店所在地として登記する際のリスクと対応ポイント

ビルや店舗などの事業用物件をお持ちのオーナー様にとって、
法人テナントが入居時に「この物件を本店所在地として登記したい」
と申し出てくるケースは少なくありません。

一見、特に問題がなさそうに思えるこの申し出ですが、
内容をよく理解しないまま承諾してしまうと、
思わぬトラブルに巻き込まれる可能性もあります。

今回は、法人登記の基本から、
物件オーナーとして知っておくべきリスクと対応のポイントについて解説します。

■ そもそも「本店所在地」とは?
法人を設立する際、法務局に「登記申請書」を提出しなければなりません。
その中には「本店所在地(本店住所)」を記載する欄があり、
ここに記載された住所が法人の「登記上の本店」となります。

なお、「本社」という言葉もよく使われますが、これは法律用語ではなく、
日常的・商業的な呼称であるため、登記には「本社」ではなく「本店」を用います。

■ 賃貸物件でも本店登記はできる?
日本国内であれば、自己所有・賃貸を問わず、
本店所在地としてどこを選ぶかは基本的に自由です。
ただし、賃貸物件の場合、登記前に貸主(オーナー)の
承諾を得るのがマナーであり、またトラブル防止の観点からも重要です。

賃貸借契約書に「登記不可」や「事前承諾が必要」などの文言を入れておけば、
無断登記を抑止する効果もあります。
特にマンションタイプの事務所やSOHO物件では、
管理規約上、登記が禁止されていることも多いため要注意です。

■ オーナーにとってのメリットとリスク
● メリット
ビルの信用向上
上場企業や知名度の高い企業が本店登記を行うことで、
ビルの社会的な信頼度が高まり、
他のテナントの誘致にも好影響を与える可能性があります。

● リスク
債権者等の訪問リスク
万が一、その法人が倒産したりトラブルを起こした場合、
登記された住所をもとに債権者や関係者が現地を訪れる可能性があります。
結果として、ビル全体のイメージダウンや他テナントへの悪影響にもつながりかねません。

登記の解除が困難なケースも
法人が退去しても、すぐに登記住所を変更しない
(あるいは連絡が取れなくなる)場合があります。
そうなると、登記上の本店が「空室」のまま残ってしまい、さまざまな支障が出ることも。

■ 本店登記を希望された場合の対応方法
入居希望の法人から本店登記の相談を受けた場合、
頭ごなしに拒否する必要はありません。
しかし、以下の点を事前にしっかり確認しましょう。

法人の事業内容・実態(書面やヒアリングで確認)

業績や信用情報(帝国データバンク等の活用も検討)

入居契約書への明記(登記の可否、退去後の責任など)

他の入居テナントへの影響

リスク管理を徹底したうえで受け入れる判断をすれば、
むしろ物件の価値向上にもつながる可能性があります。

■ まとめ:登記リスクの理解が、安定経営に直結
法人による本店登記は、オーナー様の物件に一定の責任や影響をもたらします。
そのため、契約書の整備、事前の確認体制、
登記後の対応策などをしっかり整えておくことが、
安定した賃貸経営に繋がります。

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