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いま注目の民事信託(家族信託)|メリット・注意点・始め方を徹底解説

2025年09月09日

いま注目の民事信託(家族信託)|メリット・注意点・始め方を徹底解説

民事信託(家族信託)とは?

将来の財産管理に備える新しい選択肢と活用方法

将来の判断能力低下に備え、財産管理を安心して行うための方法として
「民事信託(家族信託)」が注目されています。
民事信託とは、信頼できる家族へ財産の管理・運用・処分・承継を任せる仕組みで、
認知症対策や柔軟な資産承継の手段として活用が広がっています。

本記事では、民事信託の基本的な仕組みから
メリット・注意点、成年後見制度や遺言との違い、実際の活用場面まで分かりやすく解説します。
ご本人はもちろん、受託者候補となるご家族にもぜひ知っていただきたい内容です。

■ 民事信託(家族信託)とは?

「信託」とは、信頼できる人に財産の管理を任せ、その目的に従って運用してもらう仕組みです。
一般的に金融機関が受託者となる信託を「商事信託」、家族などが受託者となるものを「民事信託」と呼びます。

※「家族信託」は商標名称のため、本コラムでは「民事信託」と表記しています。

民事信託では、

財産を託す人(委託者)

財産を管理する人(受託者)

財産の利益を受ける人(受益者)
が明確に定められます。
特に多いのは、委託者=受益者となる「自益信託」で、
判断能力低下後の財産管理対策として利用されています。


■ 民事信託の主なメリット

 
① 判断能力低下に備えて財産トラブルを防げる

認知症の増加に伴い、判断能力が低下すると次のような問題が生じます。

預金が引き出せない

不動産の売却・契約ができない

詐欺や悪質商法の被害リスクが増える

民事信託を活用していれば、受託者(家族)が財産管理を継続できるため、
こうしたトラブルを避けられます。

② 思い通りの資産承継ができる

民事信託は遺言よりも柔軟な資産承継が可能です。

例:子どものいない夫婦の場合
ご主人 → 奥様 → ご主人の兄弟へ
といった「数世代にわたる承継」も指定できます。
遺言では実現が難しいケースも、民事信託で解決できることがあります。

■ 民事信託の始め方

民事信託は専門知識が必要な制度のため、
まずは信託に詳しい専門家(弁護士・司法書士・税理士)に相談することが大切です。

事前に決めておくべきポイント

信託の目的

誰に管理を託すか(受託者)

どの財産を託すか(信託財産)

誰に承継させるか(次の受益者)

手続きの流れ

専門家への相談

信託契約書案の作成

金融機関での信託口口座の開設相談

公証役場で契約書を公正証書化

名義変更・信託口口座の開設・信託財産の移転

※金融機関によっては契約書案を事前に確認し、開設可否を判断するため、
契約書を公正証書化する前の相談が必須です。

■ 民事信託の注意点
 
① 信託できるのは「指定した財産のみ」

遺言と違い、民事信託は対象となる財産を限定して設定します。
そのため、全財産の承継設計は遺言と併用するのがおすすめです。

② 受託者を監督する仕組みが必要

受託者の暴走や管理不全を防ぐため、

信託監督人

受益者代理人
を設置することがあります。

③ 受託者には多くの義務がある

受託者は委託者のために厳格な管理を行う必要があります。
代表的な義務は以下の通りです。

善管注意義務

忠実義務

分別管理義務

帳簿作成・報告義務

信託財産を私的に利用したり不適切な管理を行った場合、
損害賠償責任を負う可能性もあるため、受託者の理解と協力が不可欠です。

■ 遺言・任意後見制度と組み合わせるとさらに安心

民事信託だけで全てを補えるわけではありません。
より安全な老後と相続対策のために、次の制度との併用が推奨されます。

● 遺言との併用

信託財産以外の財産について、遺言で分配方法を指定しておくことで、全体の承継計画が整います。

● 任意後見制度との併用

民事信託ではできない「介護契約・施設入居契約」などの法律行為を任意後見人が代理できます。
生活・介護面の支援を補う仕組みとして有効です。

■ まとめ

民事信託(家族信託)は、

判断能力低下に備えた財産管理

柔軟な資産承継

家族の負担軽減
など、多くのメリットがある制度です。

一方で、契約内容の不備や誤った運用はトラブルの元となり、
場合によっては信託が無効になることもあります。
制度の特性を理解し、専門家と相談しながら進めることが安心への近道です。
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