まずは、法人登記について簡単に確認しましょう。
法人を設立する際、登記申請書に本店住所を記載する欄があります。この本店住所は、その法人がどこにオフィスを構えるのかを示す重要な情報です(以下、この住所を「本店所在地」と呼びます)。
法人設立後、本店所在地は履歴事項全部証明書で確認することが可能です。
よく「本社」という言葉も使われますが、法人設立の際には「本社」とは記載せず、あくまで「本店所在地」となります。企業のHPやパンフレットで「本社」と記載されている場所と、履歴事項全部証明書に記載された本店所在地が一致していることが一般的です。
本店所在地は、自己所有・賃貸に関わらず、国内であれば基本的に自由に選ぶことができます。ただし、賃貸物件を本店所在地として登記する場合、賃貸物件のオーナーの許可が必要です。無断で登記を行ったり、事後報告があった場合は、オーナー側が問題を生じさせる可能性があります。
また、賃貸物件の管理規約や賃貸契約書で、本店所在地としての登記を制限することができます。特にマンションでは、このような制限が設けられているケースが多いため、注意が必要です。
オーナーとして「ビルを本店として登記しても良いか?」とテナントから相談を受けた場合、メリットとして「ビルの信用度が向上する可能性」が挙げられます。特に上場企業や大手企業が本店として登記することで、ビル自体の価値や信頼性が高まり、他のテナントにもプラスの影響を与えることがあります。
ただし、デメリットやリスクも考慮する必要があります。本店所在地として登記した法人が経営上のトラブルを起こしたり、倒産した場合、その影響がビル運営に及ぶ可能性があります。法人のトラブルが公的に認知されることで、ビルの信用が損なわれるリスクが高まります。
「契約後、本店所在地として登記したい」と入居前の法人から相談を受けた場合、必ずしも入居を断る必要はありませんが、その法人の事業内容や規模、業績などをしっかりと確認し、空室状況を踏まえて総合的に判断することが重要です。
「法人が本店所在地として物件を登記する」ことの意味を十分に理解し、リスク管理を行うことで、未然にトラブルを防ぎ、ビルの信用を高めることができるかもしれません。特にビルや店舗物件のオーナーの皆様には、この点を理解しておくことを強くお勧めします。