オフィスフロアの床から天井までの高さ、いわゆる「天井高」は、

オフィス環境の快適性を左右する非常に重要な要素の一つです。

立地や賃料、床面積に目が向きがちなオフィス選定ですが、

実は天井高は従業員の心理状態や集中力、生産性にまで影響を与えるポイントでもあります。

日中の大半をオフィスで過ごすオフィスワーカーにとって、

天井高の違いが「働きやすさ」を大きく左右するといっても過言ではありません。

本記事では、オフィスにおける適切な天井高の考え方や、
物件選びで注意すべきポイントについて詳しく解説します。
 

天井高と人の「空間認識」の関係性

オフィスの広さというと、床面積（㎡数）に注目されがちですが、
人は空間を平面的にだけでなく、天井までの高さを含めた三次元（立体的）な空間として認識しています。

そのため、同じ床面積のオフィスであっても、

・天井が高い → 開放感があり、広く感じる

・天井が低い → 圧迫感を覚え、実際以上に狭く感じる

といったように、空間の印象は大きく変わります。

一方で、天井が高ければ高いほど良いというわけではありません。

過度に高い天井は、落ち着きにくく集中力を妨げる要因になることもあり、
「用途に合った天井高」を見極めることが重要です。

オフィスに適切な天井高の目安とは

建築基準法では、居室の天井高は2,100mm以上と定められています。

ただし、これはあくまで最低基準であり、
オフィスとして快適に利用するには、もう一段階高い水準が求められます。

一般的なオフィスビルでは、

2,500mm～2,800mm程度：標準的

2,800mm以上：開放感のある設計（比較的新しいビルに多い）

といった天井高が主流です。

近年のオフィスビルでは、快適性やデザイン性を重視し、
天井高を高めに設定する傾向が強まっています。

オフィス規模・業種による考え方の違い

・少人数・コンパクトなオフィス

　→ 天井高がやや低めでも問題になりにくい

・ワンフロア利用や大規模オフィス

　→ 天井が低いと圧迫感が強くなりやすく、高めの天井高が望ましい

また、天井が高い空間は発想力を刺激するといわれており、

IT・デザイン・広告などのクリエイティブ系業種では、
あえて天井高のある物件を選ぶケースも多く見られます。

OAフロアを導入する場合の注意点

オフィス選定時に特に注意したいのが、
OAフロア（フリーアクセスフロア）の有無です。

OAフロアとは、床を二重構造にし、
その間に電源・LANケーブルなどの配線を収納する仕組みです。

配線が露出しないため、見た目がすっきりし、レイアウト変更にも柔軟に対応できるメリットがあります。

ただし、OAフロアには以下の点に注意が必要です。

OAフロアの厚み：約30～100mm程度その分、実質的な天井高は低くなる

つまり、表記されている天井高だけで判断すると、

入居後に「思ったより天井が低い」と感じるケースも少なくありません。

物件を検討する際は、

OAフロア込みの「有効天井高」はどれくらいか

照明・空調・スプリンクラー設置後の体感高さ

といった点まで含めて確認することが重要です。

まとめ｜天井高は「働きやすさへの投資」

オフィスにおける適切な天井高は、

企業規模

業種・業態

働き方（固定席・フリーアドレスなど）

建物の構造や設備

といった複数の要素を総合的に判断する必要があります。

天井そのものの高さを後から変更することは難しいため、

オフィス探しの段階で天井高にしっかり目を向けることが重要です。

単なる数値だけでなく、「そこで働く人が快適に、前向きに働けるか」という視点で、

天井高を含めたオフィス環境を検討していきましょう。